DETAIL
フランス人コンセプチュアルアーティスト、ソフィ・カル(Sophie Calle)の作品集。パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)没後50周年を記念し、パリの「ピカソ美術館(Musée Picasso)」はサレ館(Hôtel Salé)に作者を招いた。本書は、2023年10月から2024年1月まで同美術館で開催された展覧会に伴い刊行された一冊です。
-Sophie Calle-
ソフィ・カルは1953年フランス・パリ生まれ。7年間世界各地の放浪を経てパリに戻った79年に、知人や面識のない人が自身のベッドで眠る様子を撮影・インタビューした、写真とテキストからなる初作品《眠る人々》を発表。80年から作家活動を本格化し、「ゲーム」と呼ぶ自身が決めたルールにのっとって制作を行う。作品は自身や他者の親密な体験をテーマとして、テキストと写真の併置、あるいはそこにオブジェ、映像などを組み合わせた手法が特徴。初期の作品に、ヴェネチアのホテルでメイドとして働きながら、宿泊客を観察した《ホテル》(1981)や、偶然拾った手帳に書かれている連絡先にインタビューし、持ち主の印象を浮かび上がらせた《アドレス帳》(1983)など。自己、または他者やその日常を一風変わった視点からとらえた虚実が入り交じる作風で、通念に揺さぶりをかける。生まれつき目が見えない人々に「美のイメージとは何か」と問い、その回答をもとに写真を撮影した《盲目の人々》(1986)では、視覚や美に対する認識を問いかけた。